めっき紹介PLATING
亜鉛めっき-六価クロメートとは?
代表的な防錆めっきとして広範囲な分野で用いられ、特に鉄鋼に対する防錆力に優れています。これは、亜鉛が鉄よりも卑な金属であるため、腐食環境下で鉄に対し自己犠牲作用が働き、鉄の腐食(赤錆)を長期間抑制させる特徴を有します。
しかし、亜鉛めっき自身も大気中で比較的早く腐食(白錆)が発生する事から、その防止策として亜鉛めっき上にクロメート処理を後処理として施します。ここで言うクロメート処理とは六価クロム(クロム酸)を用いた化成処理の事で、特殊なクロム酸溶液中に亜鉛めっきを浸漬・反応させる事で形成される化成皮膜を指します。
色調は一般的に光沢、有色、黒色、緑色があり、それぞれ物性(耐食性能等)の違いがある事から用途に合わせた選択を要します。
(当社対応仕様は次項[めっき浴種と対応ライン]を参照下さい)
このクロメート皮膜中に六価クロムが含まれている事で、皮膜が傷ついたり破壊されても、自己修復作用が働く事により優れた耐食性を発揮します。
これら亜鉛めっき上クロメート処理は古くから一般的に使用され、技術的にも熟成されていますが、近年の欧州指令やグリーン調達の普及にともない、環境汚染・人体への影響が危険視されている六価クロムの使用を制限する動きが急速に高まっている状況となり、これに対し六価クロムを使用しない三価クロムを用いた化成処理として亜鉛めっき-三価クロミックが広く実用化され、代替技術として一般的に認知されています。
分野 | 目的 | 用途例 |
---|---|---|
自動車分野 | 耐食性向上、塗装下地性等 | ボルト・ナット、各種部品等 |
建築分野 | 耐食性向上等 | 各種金具等 |
設備装置分野 | 耐食性向上、塗装下地性等 | シャーシ、各種金具等 |
光学機器分野※ | 光反射防止性、耐候性、耐食性向上等 | 光学機器部品等 |
※黒色クロメートのみに関わる分野
めっき特性と適応素材(参考)
めっき種 | 外観色調 | 耐食性(h) | 主な特性 | 素材 | ||||
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鉄 | 鋳物 | 銅/真鍮 | SUS系 | アルミ系 | ||||
亜鉛めっき六価 有色クロメート |
虹色 (黄色干渉色) |
72 以上 |
耐食性 装飾性 等 |
◎ | △ | ○ | △ | △ |
亜鉛めっき六価 黒色クロメート |
漆黒色 | 120 以上 |
耐食性 光反射防止性 耐候性 等 |
◎:容易、○:比較的容易、△:前処理や特殊工程が必要
めっき浴種と対応ライン
当社では均一電着性に優れ、毒物(シアン等)を使用しないジンケート浴(ノーシアン浴)を採用しています。
対応ライン | 亜鉛めっき浴種 | 化成処理種 | 処理可能最大寸法 | 最大荷重 | 備考 |
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自動亜鉛ライン | ジンケート浴 | 六価有色 六価黒色 |
2400L×350W×1200H | 180kg | 自動生産ロボットにより重厚長大品の量産処理も可能。 |